TPPはアメリカの仕掛けた罠③ -日本をアメリカに売った小泉・竹中・マスコミ。TPPはその第二弾総仕上げ。郵貯・簡保・共済の国民資産収奪に手ぐすね引くアメリカ。知らぬは国民ばかり・・・
・小泉・竹中の郵政米営化政策-
10月20日の「第9回TPPを慎重に考える会 勉強会」にて。外務省、金融庁、総務省、内閣官房郵政改革推進室が登壇し、TPP参加のメリットと安全性を説明。しかしアメリカのシビアな要求に対する想定の甘さに、会場からは批判の声が相次いだ。(Web Iwakami)
そのなかで国民新党亀井静香氏も発言。郵政改革法案を作成する過程でアメリカから「ノー!小泉政権時の案のままで行け」という非常に強いプレッシャーがあったこと、管轄でもない外務省がアメリカの主張を呑め、と圧力をかけてきて、条約局長までしゃしゃり出てきたので副大臣が出入り禁止にしたこと等を報告し、会場から大きな拍手を受けた。
前原誠司が「TPPの慎重論、反対論の中には事実でないことへの恐怖感がある。わたしはこれを『TPPお化け』と呼んでいる」などと発言していることに対し、亀井氏は「政府の責任は国民に正確な知識を届けることだが、それをしない。(前原氏らが)自分たちのしていることも分からないのは、それこそ『TPPお化け』だ」と反論している。
はたしてどちらが「お化け」なのか?
当ブログではかつて前原誠司を“ぬらりひょん”と称したことがあるが、それはさておき、正攻法の議論を回避してワン・フレーズ的に対立相手を悪者に貶(おとし)めんとするその手法は、かつての小泉純一郎首相を連想させる。煽動的で、聴衆をマインド・コントロールするのには最適の方法であるが、幸か不幸か、彼には小泉ほどの煽動家としての才能は無いようだ。
前原誠司の政治手法が小泉純一郎のそれと類似しているように、その議論の的として現在彼を中心に推し進められているTPP(環太平洋経済連携協議)で計画されている策略の中身も、かつて小泉政権で実行された政策の実態と内実に、きわめて類似しているのである。
だから小泉純一郎が竹中平蔵と組み、マスコミという強力な援護射撃に守られながら実行していった政策の因果顛末を今あらためて検証してみる事も、一見迂遠なようでいて、TPP参加是非という喫緊の問題の本質を理解するうえで、無駄では無いだろう。
小泉・竹中がその存在を国民にはひた隠しにしていた「対日年次改革要望書」や直接の綿密な打ち合わせ等によりアメリカからの要請に沿う形で進めた金融経済政策は、要約すると、
①日本は緊縮財政をおこない、米国債投資を増やすこと。デフレは継続すること(日本の預貯金を日本で使わせないで米国債へ投資させる為)
②合わせて外資による日本企業の買収を促進させる環境を整えること。商法改正し、国境を越えた企業買収における三角合併の認可、銀行を弱体化させ、株価暴落への市場誘導をおこなう
③世界でも有数の資金量を誇る郵政公社を民営化して、それをアメリカ資本に買収させる
④新自由主義・市場原理主義にしたがって日本の経済社会体制や労働環境(非正規雇用の促進等)、日本人の思考様式までありとあらゆる領域を総合的に改造し、日本本来の経済力をその底で支えている社会生活基盤を疲弊させて、アメリカ資本の収奪しやすい環境を整えること
などとなるだろう。④の「ありとあらゆる領域」というのがミソだ。それを逐一詳述したらとてもブログ一記事では足りないが、これらは部分的にではあるが達成され、特に①と②に関しては十二分に完遂されたと言って良いだろう。そこには巨額のインサイダー取引の疑いまで絡む。
2003年春の日本の金融危機は人為的に引き起こされたものであった。株価暴落を招いた最大の原因は、竹中金融相(当時)による2002年10月のニューズウィーク誌における「大銀行が大き過ぎるからつぶせないとの政策方針をとらない」との発言である。
竹中経済金融財政の深い闇 植草一秀の『知られざる真実』
2008年10月18日より一部転載
2002年9月30日の内閣改造で、竹中平蔵経財相は金融相を兼務した。すべての疑惑はこの内閣改造からスタートしている。
2002年10月から2004年3月にかけて、日本政府は47兆円ものドル買い介入を行った。米国国債保有者に47兆円の資金が提供された。本来、下落するドルを進んで買う者など存在しない。日本政府が進んで47兆円もの資金を提供しなかったら、米国経済では何が生じただろうか。
米国は海外から経常収支赤字に見合う資金を調達しなければならないから、日本が資本を供給しなければ、金利を引き上げざるを得なかった。2002年から2004年にかけて、米国は史上空前の金融緩和を実行した。2003年から2004年にかけて、FRBの政策金利FFレートは1.0%の史上最低水準で推移した。この低金利持続を可能にしたのは、日本政府の無尽蔵とも言える巨大資金提供だった。
2002年から2004年にかけての超金融緩和政策が米国における不動産バブル発生の原動力になったと考えられる。2002年から2004年にかけて、FRBが早期に金融引締め政策を採用していれば、米国の不動産バブルを小規模にとどめることができたはずだ。
この意味で、2002年から2004年にかけての、日本政府による不自然極まる巨大なドル買い介入が、現在の世界金融危機、サブプライム金融危機の根源的な原因を作り出したとも言えるのだ。
2001年から2003年にかけて、小泉政権は強烈な景気悪化推進政策を採用した。「いまの痛みに耐えて、よりより明日をつくる」とのプロパガンダを流布し、史上最強の緊縮財政政策を実行した。小泉政権の財政政策が史上最大の緊縮策であったことは、一般会計のデータから裏付けられる。詳細は拙著『現代日本経済政策論』(岩波書店)を参照いただきたい。
意図的な景気悪化推進政策と、「大銀行破たんも辞さない」との方針明示により、日本の株価は順当に暴落した。日経平均株価は2001年5月7日の14,529円から2003年4月28日の7607円まで、2年間で半値に暴落した。
拙著『知られざる真実-勾留地にて-』(イプシロン出版企画)に詳述したように、小泉政権はりそな銀行を政治的な理由により標的と定め、りそな銀行を極めて悪辣(あくらつ)な手口で、自己資本不足の状況に追い込んだのだと考えられる。
最終的に小泉政権は、りそな銀行を破たんさせずに、公的資金で救済した。欺瞞と不正に満ちた金融問題処理が実行された。日本の金融行政に最大の汚点を残したと言って間違いない。りそな銀行の経営陣には、小泉政権近親者が送り込まれ、りそな銀行は自民党の機関銀行と化していった。
金融市場に対して竹中金融相は「金融恐慌」のリスクを喧伝(けんでん)し、株式の投げ売りを促した。多くの本邦投資家が二束三文で株式資産を処分した。不動産も同様である。しかし、最終局面で銀行を救済し、資産価格を反転させるシナリオが準備されていた。「りそな銀行救済」をきっかけに株価は急反発した。不動産価格も反転上昇に転じた。
この「用意されたシナリオ」に従い、巨大利得を手にした勢力が存在する。外国資本と小泉政権関係者である。確証を持たないから、あくまでも濃厚な疑惑であるのだが、疑惑は限りなくクロに近い。
2002年10月から2004年3月にかけての47兆円のドル買い介入は、外国資本に対する日本資産買収資金提供の側面を強く有すると考えられる。小泉政権は2003年11月に総選挙を実施した。日経平均株価は2003年4月に7607円のバブル崩壊後最安値を記録したのち、2003年8月には1万円の大台を回復した。47兆円のドル買い介入資金が、総選挙に向けての日本株式買い付け代金として提供された側面も重要だ。株価が反発したために、小泉政権は総選挙での大敗を免れた。
「風説の流布」、「株価操縦」、「インサイダー取引」が国家ぐるみで実行された巨大な闇の存在が強く疑われる。そして、一連の経済金融運営は、国民の生活を破壊し、多くの罪なき国民に地獄の苦しみを与えただけでなく、国民の貴重な資産を外国勢力に破格の条件で提供した、巨大ディールであった疑いが濃厚に存在する。
(転載了)
2003年2月の時点で竹中は、日経平均株価指数連動型の株式投資信託(ETF)は「絶対儲かる」と発言していた。またこのりそな問題では、複数の関係者が不審な死を遂げている。
こうして日本の生保、損保、銀行等の金融機関を始め多くの企業に外資が食い込んで準備が整った後、次に実行に移されたのがそれらによる郵政公社買収計画、すなわち③郵政民営化であった。
2004年4月に郵政民営化準備室が発足してから2005年4月に「郵政民営化法案」が閣議決定されるまでに、竹中平蔵はこの問題に関し17回だか18回だか米国関係者と密に会合協議を重ね、しかもそのうちの5回には米国の保険会社の重役陣が同席していた。米国資本は総資産量350兆円に及ぶ「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」を一気に買収する計画を立て、投資銀行ゴールドマンサックスが幹事証券に決まっていたという。
その本来の目的をひた隠しにしたまま、国民に対しては何重もの虚偽のアナウンスがマスコミを通じて繰り返された。いわく、「小さな政府」を実現するために民営化して郵政職員を民間企業の社員にする、郵貯・簡保の資金を開放して「官から民へ」流すことで経済を活性化させる等々。
しかし郵政の職員は身分こそ公務員であったが、経営は独立採算制を採っていたので元々給料は税金からはビタ一文出ていなかったのであり、また郵貯・簡保を民営化しても、ひきつづき国債を買い支えざるを得なかったので、民営化しても資金は「官から民へ」など流せないことは、当時から分かっていたことだった。
2005年8月8日に参議院で郵政民営化法案が否決されると、小泉純一郎は衆議院解散総選挙に打って出る。いわゆる「小泉郵政選挙」である。この時のマスコミの報道は過熱をきわめた。
森田実政治日誌 郵政民営化はウォール街のためか
2005年8月10日より一部転載
米国通の友人H氏から、『ウォールストリート・ジャーナル』2005年8月8日号のインターネット版記事の一部が送られてきた。
『ウォールストリート・ジャーナル』は「郵政民営化法案は廃案となったが、これは手取りの時期が少し延びたに過ぎない。ほんの少し待てば、われわれは3兆ドルを手に入れることができる」との見方を述べている。
3兆ドルとは、国民が郵政公社に預けている350兆円のことである。ウォール街は、9月11日の総選挙で小泉首相が勝利し、総選挙後の特別国会で郵政法案を再提出し、成立させると信じているようである。
H氏によると、これを確実にするため、ウォール街は、多額の広告費を日本に投入し、日本のテレビを動員して、日本国民をマインドコントロールして、小泉首相を大勝利させる方向に動いている。
「多額の広告費はどのくらいか?」と聞くと、「とにかくケタ違いの金額のようだ。いままで投入した広告費の10倍を投入してもかまわない、と考えている。350兆円を得るために、その1~2%を使ってもよいと考えているようです。」
(中略)全地上波キー局が小泉自民党の宣伝機関になり、小泉ヨイショ報道に狂奔している。これにより日本国民をして小泉を支持させて、小泉を英雄にし、独裁者にしようと狙っている。
(中略)民放テレビ局員も、米国のマインドコントロールのもとで、日本国民を地獄に落とすためのウォール街の策動に喜んで協力し、テレビ報道を通じて日本国を米国の従属国にしようとしている。
(転載了)
普段選挙になどてんで無関心な筈のオレの知人も当時「今度の選挙はなんか面白いな。投票に行こう。」と言っていたのを思い出す。彼の住む選挙区にマスコミが「刺客、刺客」と囃し立てる候補者がいたので、その人に投票したいと考えていたようなのだ。
小泉自民党は総選挙で圧勝し、2005年10月に郵政民営化法・関連法案が成立すると、竹中平蔵は総務相に就任する。 そして翌年郵政公社承継実施計画の骨格を策定し終えると、これで任務完了とばかりに任期途中で参院議員も辞職するのである。そして更にその翌年不自然な「かんぽの宿」等一括売却が行われたわけであるが、これにも竹中が計画的に噛んでいた疑いが濃厚である。この間の事情も植草氏のブログに詳しい。
郵政公社は政府が株式を100%保有する日本郵政会社に移行し、その株式は2010年から民間に売却される予定だった。しかし2009年の衆議院選挙で民主党・国民新党・社民党の三党連合が勝利し、同年12月に日本郵政の株式と資産の売却凍結法が施行された。そして亀井氏らが中心となり新郵政改革法案が策定されて、2010年6月に衆議院で可決したが、参議院で審議に入る前に参議院選挙になり、廃案となってしまった。
もし売却凍結法が施行されずにそのまま進んでいたら、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式はまたしても不当な安値で、一気に米国資本に買い占められていただろう。明治時代以来のわが国の郵便貯金と簡保資金が国外に流出して日本国民のために使えなくなり、公社時代から蓄積していた積立金や利益準備金も、株主資本主義の名の下、配当金としてごっそり海外に持ち去られていた筈である。
そしてさらに日本国にとって重要な点は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命合わせて日本政府の発行済み国債のほぼ3分の1を保有しているという事実であり、もし日本郵政が米国資本に買収された場合、彼らは資金運用を日本国債から米国債中心の運用に変更してくるだろうと思われ、その場合政府の資金調達は途端に困難になり、深刻な国家財政危機に直結するだろう。日本国債の市場価格も下落して長期金利が上昇し、同じく多額の国債を保有する国内民間銀行の経営を圧迫して、日本経済全体が深刻な打撃を受けることになるのである。
国債をすべて自国通貨建てで発行し、かつその保有者がほとんど自国民で占められている日本は、財務省やNHKを始めとするマスメディアがしきりに不安を煽っているようなギリシャやその他EU諸国のごとき財政破綻危機に陥る可能性は当面有り得ないが、それも日本郵政の支えあっての話なのである。「ゆうちょ」や「かんぽ」を外国資本に乗っ取られる事は、すなわち国家の危機に直結するのだ。国民を騙して郵政民営化を推し進めた小泉・竹中が、悪質きわまる売国奴と誹られる所以である。
そしてTPP交渉においても、アメリカは明確に執念深く郵政を狙ってきている。むしろ彼らの狙いの本丸と言ってもいいかも知れない。
ふじふじのフィルター氏のブログ記事によると、昨年11月5日の衆議院・農林水産委員会での自民党小野寺五典議員の質疑内で氏が明らかにしたところでは、小野寺氏の会見したUSTR(米通商代表部)の日本担当者は、日本のTPP交渉参加の前提条件(交渉参加の手土産)としての最優先課題として、米国産牛の月齢輸入制限の撤廃(BSE検査をしていない牛肉の輸入解除)とともに、日本は日本郵政会社に対する国内優遇政策撤廃の積極的受諾姿勢を持って来なければならないと氏に述べたと言う。
つまりTPPに日本が交渉参加表明した時点で、郵政の問題が俎上に上がるのを日本は受け入れたことになるというのである。USTRが小野寺氏に伝えたことは日本政府にも伝えられているであろうし、それから一年経ってアメリカの考えが大きく変わっているとも思えない。この点を政府は交渉参加の是非を決定する前に、国民に説明する義務が有る筈である。
そしてマスコミは何故こうした重要課題に対して積極的に政府に問いかけないのか?小泉郵政選挙から数年を経て、同じ手口の偏向報道姿勢を尚繰り返す彼らに対しても、国民の不信はもはや決定的な憎悪の一歩手前まで来ていると言わざるを得ない。
今月14日にワシントンで講演したUSTRのマランティス次席代表は、現在行われている9カ国によるTPP交渉において既に「20を超える交渉グループで草案が出そろった」と述べ、しかも現在行われているペルーでの会合では「米民間企業が競争上不利にならないよう、国営企業の分野で草案を追加提出する方針を明らかにした」と新聞記事にある。(毎日新聞10月15日付)
つまり、基本部分の協定は既にほぼ出来上がりつつあるのであり、そこに今敢えて日本が交渉参加表明するということは、ふじふじ氏も指摘するように交渉に参加する=TPPに参加するという意思表明と捉えられるのが国際社会の常識だろう。そうした事情を承知したうえでの前原誠司の23日の「交渉に参加して、国益にそぐわないのなら撤退も有り得る」という発言は、その意図が見え透き過ぎて空々しい。藤村の方がまだ幾らか正直である。(TPP交渉、実際は離脱困難と官房長官-讀賣新聞10月24日付)
何か発言する毎に、みずからの浅はかさを公衆に晒していくのみの結果となる前原誠司の姿は、小泉以後の売国政治家の辿る運命をもまた晒していると言えよう。
アメリカは破綻した世界最大の保険会社AIG(アメリカ・インターナショナル・グループ)を国営化した。AIGにとって、120兆円の資金を持つ「かんぽ」は是非ともいただきたい獲物のようである。USTRの『2010年外国貿易障壁報告書』にも、「かんぽ」に対する日本政府の政策的配慮が名指しで「障壁」として挙げられている。
「日本の簡易生命保険は依然として、日本の保険市場で支配的な力を維持している。(中略)米国政府にとって重要な目的は、日本の国際的な義務を整合的なかたちで、日本郵政株式会社と民間セクターが同等の競争条件を確保することである。簡保会社と民間の保険会社との平等な競争条件は、競争を促進し、消費者の選択を広げ、資源配分を効率化し、経済成長を刺激するのに不可欠である。」
さらにUSTRの『2011年外国貿易障壁報告書』にはこうある。
「共済-組合によって運営される保険事業、共済は日本の保険市場で実に大きなシェアを占めている。(中略)アメリカ政府は、共済が金融庁の監視の下に置かれるとともに、平等な競争が確保されている民間の保険業と、同じ規制基準と監督に従うべきだと信じている。」
アメリカ政府とアメリカの保険会社は、簡保とともに、共済(JA共済、全労災、県民共済、COOP)の収奪にも手ぐすねを引いているのだ。簡保も共済も、保険金額の上限が低い代わりに安い掛け金で加入することが出来る、庶民の生活基盤を支えている保険機構であり、低・中所得者層における重要なセーフティー・ネットとして機能しているものである。それらを有無を言わさず株式会社化し、市場原理の中に放り出し、弱体化したうえで買い叩こうというのが、TPPというアメリカからの誘いの正体なのだ。
サービス市場の全面開放、サービス貿易における内国民待遇(外国企業も国内企業と完全に同等に扱う)が盛り込まれているのが、TPPの大きな特徴である。しかし金融や投資や政府調達などの全般が他の財と同じように外国企業に無条件に開放されてしまうと、国内の経済政策や国民経済の基盤が、実に危ういものとなってしまうのである。
先に述べた小泉・竹中の金融経済政策の要点における①、②において彼らは充分にその任務を遂行した。彼らの中途でやり残した③、④をi再び徹底的にやり抜こうというのが、今度のTPPなのである。
長くなってしまったが、最後にいま一度、小泉・竹中政治の悪夢の継続からひとりでも多くの同朋が眼を覚ますためにも、当時阿修羅掲示板にも転載された昨2010年2月9日の衆議院予算委員会における、民主党小泉俊明衆議院議員による小泉政治を総括した国会質疑の議事録を転載させていただく。
○小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。
さて、今、日本じゅうの国民の最大の関心は景気、経済にあります。この国民の期待にこたえ、効果的な対策を打つためには、経済の現状を正しく認識するとともに、原因を正しく分析することが不可欠であります。
私は、この観点から、一貫して、この予算委員会そして財務金融委員会におきまして、小泉元総理そして竹中大臣に徹底的に闘いを挑んでまいりました。過去に盲目な者は未来にも盲目である、こう言ったのは西ドイツのワイツゼッカー大統領でありますが、私は、この言葉は真理であると思います。政権交代を果たした今こそ、あの小泉構造改革とは一体何だったのかということを検証していかなければならないと思います。
そこで、まず、平成十三年、小泉総理登場以来のここ十年間の経済の現状を簡単に振り返ってみます。
すると、まさに死屍累々であります。
データを簡単に読み上げますが、マクロ経済で見ても、GDPが、先進諸国で一カ国だけ伸びないどころか減少を続けています。一人当たりのGDPは三位から十八位に後退をいたしました。税収は減少をし、国債の発行額だけが増大をしております。
ミクロでは、自殺者はここ九年間で二十九万人、十年間で七万人死亡しましたベトナム戦争の四倍にも上っています。倒産数は九年間で十四万件、破産はここ八年で百五十五万人。犯罪数も、平成十四年に二百八十五万件という史上最高を記録し、平成十三年からの八年間で一千九百万件にも達したわけであります。生活保護世帯も、平成十二年の七十五万件から、九年で一・五倍の百十五万世帯。働く国民の三分の一、一千七百万人もの、特に若い人たちが、あすをも知らぬ契約社員となったわけであります。実収入、可処分所得、消費支出も減少を続けています。
結果から見まして、この小泉改革は、日本経済、特に地方経済の衰退と中小企業の疲弊と犯罪の増加と国民生活の破壊を招いたとしか言いようがないわけであります。
それでは、日本がここまでがたがたになった原因は一体どこにあるのか。小泉さんと竹中さんがやったことを振り返ってみたいと思います。
資料の一をごらんいただきたいと思います。日経平均株価の推移でありますが、二〇〇一年四月二十六日、小泉総理が就任したときに約一万四千円ありました平均株価が、二年後の四月二十八日、約半分の七千六百七円に下がりました。
皆さん、偶然これが暴落したと思いますでしょうか。あの小泉総理、竹中さんがやったことを思い出していただきたいと思います。不良債権の強制的処理という名のもとに貸し渋り、貸しはがしを行いました。その結果、実体経済の血液であります金融がとまり、株と土地が暴落を始めました。そして、この株と土地が暴落したときにやったことが、時価会計と減損会計の強制的な導入であります。これはもともと、本来、株と土地が上がったときに入れる制度でありますから、この制度の導入によりまして、ますます株価が暴落をいたしました。
そして、決め打ちが、銀行と企業の株式保有の禁止であります。もともと銀行と上場企業は四分の一ずつ株を持ち合いしておりましたので、この禁止によりまして、大量の株式が市場に放出をされ、株が大暴落をしたわけであります。
この結果から見ますと、小泉さん、竹中さんがわざと強制的に株と地価を引き下げたとしか私には思えないのであります。
それでは、一方で株価を下げながら、もう一方で何をやったかということを見てみたいと思います。
三ページをおあけください。三ページは、小泉総理がやりました為替介入の記録であります。平成十五年一月から平成十六年三月までの十五カ月間で、小泉総理、何と三十五兆二千五百六十五億円という史上最高のドル買い介入をしたわけであります。これは、原資は、政府短期証券そして十兆円の米国債を日銀に引き受けさせ、捻出をしたわけであります。
それでは、なぜこれほどの為替介入をしたのでしょうか。次のページをおあけください。その答えが載っております。これは、米国債を一体どこの国が幾ら持っているかという記録であります。二〇〇二年末で三千七百八十一億ドルだった日本の米国債保有が、二〇〇四年十一月末で七千百四十九億ドル。この二年間で三千三百六十八億ドル、ちょうど為替介入をしました三十五兆円、米国債を買ったわけであります。これは、言葉をかえますと、三十五兆円の仕送りをアメリカにしたわけであります。
その結果、アメリカ大統領選挙間近になっておりましたアメリカは、低金利、好景気になりました。そして、この米国債は、外国市場で、国債市場で買ったために、売った方に現金ができる、その結果、空前の株高になったわけであります。
ところが、これは、三十五兆円という余りにも膨大な仕送りをしたために余剰資金ができました。この余剰資金がどこに行ったかというのが次のページ、五ページをおあけいただきたいと思います。五ページは、日本の株式を一体だれが幾ら買ったかという、平成元年から平成二十二年までの記録であります。
これを見ていただくと、黒三角というのはすべて売りであります。個人も法人も金融機関も黒だらけで売り越しでありますけれども、ただ一人だけ買い越しをしている人がいます。真ん中の外国人であります。特に、平成十五年八兆二千百三十四億円、平成十六年七兆六千五百二十二億円、そして平成十七年、何と十兆三千二百十八億円。平成十五年から十七年までの三年間で総額十六兆九千億円近く外国人が買い越しをしたわけであります。
これは、結論を申し上げますと、米国に仕送りをした三十五兆円という巨額資金のうち、その半額の余剰資金が日本に還流をしまして、株が大暴落している最中の日本の株式をばか安値で外国人が買ったわけであります。
その結果が次の六ページであります。この六ページは、一部上場企業のうち、外国人が何%株式を保有しているかという資料であります。
ちょっとごらんいただきたいんですが、この右側の「持株比率順位」、第一位は東京スター銀行八三%、十位のオリックスが六六%、あのソニーは二十六位で五二%、そして六十位がアステラス製薬で四三%であります。実は、百位でも外国人に三五%保有をされるようになりました。
御案内のように、株主は企業の実質的所有者であります。この結果、日本企業の所有権、支配権が外資に移ったわけであります。そして、これで何が起こったかといいますと、巨額な利益配当が無税で外国に流れることになりました。一例を挙げますと、七位の日産でありますけれども、ルノーの全世界の利益の約五〇%が、たった一社、日産の利益配当で賄われています。これはほかの企業も大体似たようなものであります。
そしてもう一つ、外国人が日本の企業の所有者となった結果何が起こったかということでありますが、当然、利益配当を極大化するために固定経費、経常経費を削りたい。それにこたえて小泉、竹中さんがやったことが、終身雇用制の破壊と人材派遣の規制緩和であります。
そしてまたもう一つ、後期高齢者医療制度もこの脈絡の中から読むことができます。製薬会社の実質的所有者であります外国人の利益を守るために、製薬、薬価を維持して、そのしわ寄せをまさに高齢者に持っていったというのがこの後期高齢者医療制度の本質であると私は思っているわけであります。
今述べましたように、この小泉構造改革の真実は何であったか。まず一つに、金の卵を産む鶏であります民間企業の所有権をばか安値で外国人に売り渡した、それも、もとは日本のお金で売り渡したということであります。そしてもう一つ、亀井大臣が一番関係ありますけれども、あの郵政民営化、これも、三百五十兆円もの郵貯、簡保資金をアメリカの財布にするということがその本質だったと思います。
そしてこれに対する亀井静香金融担当大臣(当時)の答弁は、次の通りである。
○亀井国務大臣 小泉議員から、今の惨たんたる状況になったその原因、やはり、過去をきっちりと総括しないで前に進んでいくということは、我々政治家は厳に戒めなければならないと私は思う。夢物語では我々の未来は切り開けないわけであります。そういう意味で、私は、小泉議員の指摘はまさにそのとおりである。だからこそ、民主党が、そうしたしっかりとした、過去を総括した姿勢で選挙をおやりになったからこの間大勝されたのかな、このように私は思っておるわけです。
簡単に言いますと、小泉さん、竹中さんの政治の間違いは、縮小均衡の路線に入られたということだが、そうした中で、しかも富の配分構造を変えられた、産業構造を変えていかれた、そのために、安定的に国民の可処分所得がふえていかなかったという大きな問題が起きる中でこういう状況が起きた。
簡単に言いますと、自民党席からはまたやじが飛ぶかもしれませんが、小泉・竹中改革と称する路線の逆をやれば日本の未来が開かれる、このように私は思います。
10月30日(日)渋谷 TPP断固拒否国民デモ
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