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2014年2月 7日 (金)

毒を食え、叫べ

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小泉純一郎は、まだ叫んでいない。



東京都知事選において、細川・小泉チームの街頭演説は、他陣営よりも動員数や聴衆の反応において勝っているようだ。小泉節も健在のようである。しかし、“黙殺”というマスメディアの対抗手段の前では、その効果も限定的である。

一昨年の衆院選から昨年の参院選において遂行されたのと同じ手法・過程が、この都知事選でもまたぞろ繰り返されている。“舛添圧倒的に優位、原発は争点に非ず”という各社一斉の世論調査結果という名目の世論誘導。“細川・宇都宮が接戦”とし続けることで、反舛添票を分断させる巧妙さである。

それでも“まだ態度を決めかねている3割~4割の層”の動向次第では選挙結果はどうなるか分からない筈なのであるが、投票率を極力下げるべく明確な意図をもって選挙報道は低調に進行されている。

<2014年、NHKはもう “要ラン”>という天からのお触れでもあったのか、新年初っぱなの放送を大越健介のイラン・レポートから始めたNHKの『ニュース・ウォッチ9』は、この都知事選について何一つ触れようとしない状態がずっと続いているが、選挙最終週の今週には、海の向こうのタイにはしっかり出掛けて、選挙中断を巡る与野党勢力の攻防を現地レポートしていた。

一日で帰って来たが、どうせなら都知事選の終わる日曜日までそのままずっとタイにいて、彼の地での選挙動向をレポートし続けていた方が、「NHKとは何者か?」ということを視聴者に知らしめる良い機会だったろう。



自民・公明の基礎支持票が230万票ほどと推定されるなか、投票率が60%を超えるようなら細川陣営にも勝機有り、と目されるが、特命ムサシ班の出動があれば、それもどうか分からない。

このままでは、小泉純一郎も敗れ去る公算が大となる。“小泉劇場”も、所詮はマスメディアの全面支援があればこそ、化けの皮を剥がされたB層アイドルの惨めさよ、と指差され蔑まれ、笑い者になって、すごすごと退場するに甘んじるのか。

尤も、小泉にハナから勝つ気が無かった、とするのなら話は別だが。昨年小泉が唐突に脱原発宣言し、マスメディアが嬉々としてこれを報道しているのを観た時、アァこれはまた国民眼目眩ましの政界再編劇への布石だな、と思ったものである。事実そうだったのであろう。

脱原発か否か、のワン・イシューで、政治の大勢をネオリベ対米従属AチームとBチームに振り分けて表面上の対立構図を演じることで、その他の対抗勢力を陰に埋没させておく事が出来る。それに今から布石を打って置けば、福島第一原発がいよいよニッチもサッチも行かなくなったり、第二の原発事故が起こったり、ガン患者が急増したりして国民世論の大勢が「原発はやっぱりもう駄目だ」という方向に大きく傾いた時にも、その動きを吸収する保険にもなる。その為には、敗けても敗けても地方首長選の応援演説に立ち、脱原発を訴える姿を国民に見せ続け、一定の支持を集めておくだけで現況は効果有り、と観る考えも在る。

しかし小泉純一郎には勝つ事に対する執着が有るだろう。彼は日本共産党ではない。現在のマスメディアの中でもっとも小泉シンパと思われる朝日新聞まで含めての右へ倣えの“黙殺”攻撃に、心中穏やかではない筈だ。

その真意は、いずれ分かる時が来る。

小泉に本気で勝つ気があるのなら、本気で脱原発の首長を誕生させ、本気で安倍政権に決定的打撃を与えたいと思っているのなら、周回遅れの「原子力ムラ」批判のような綺麗事を並べ立てているだけでは駄目だ。それは“小泉劇場”にはならない。

小泉純一郎が今、大観衆の前で叫ばなければならない言葉はひとつである。


「抵抗勢力はマスコミだ!」



ーみなさん、抵抗勢力はマスコミなんです!わたしと細川さんがこうして老体にムチ打って、みなさんの前で懸命に脱原発を訴えて、みなさんがそれを熱心に聞いて下さり、こうして暖かい声援と拍手を下さる。このみなさんの熱気を、マスコミは一向に伝えようとしない。無きものにしようとしている!

ーみなさん、知っていますか?この選挙戦中の先月30日、東電は福島第一原発の1号機で、格納容器下部の破損配管から、1時間あたり最大3.4㌧の汚染水が漏れているらしい、と公表したんです。1時間あたり4.4㌧の注水をずっと続けている、その8割がずっと漏れ続けているんです。三つ壊れている原発のそのひとつ、その一箇所の破損配管での話ですよ。他にももっと漏れているんです!漏れ出した汚染水の放射線濃度は、1時間あたり最大237万シーベルトですよ。みなさん、こんな大きなニュース、ほとんどの人が知らなかったでしょう?だってテレビを見たって新聞を見たって、ぜ~んぜんこんなニュースやってないんだから!

ーみなさん、これもこの選挙戦中の話ですよ。NHKのラジオ番組で、東洋大の中北徹教授という人が、20年間その番組にレギュラー出演していた人ですよ、やはり先月30日の放送で「原発稼動のコストとリスク」というテーマで話そうとした。それでNHKのディレクターに原稿を渡したら、「これは絶対にダメだ。都知事選中に原発の話はしないでくれ」とそのディレクターに言われたんで、中北さんは怒って仕方無く番組を降りちゃったんです!脱原発は都民の関心が薄くて都知事選の争点にはならないとマスコミは言っている。しかし違うんですよみなさん!マスコミが脱原発を争点にすまいとしているんだ!抵抗勢力はマスコミだ!



「抵抗勢力はマスコミだ!」「マスコミをぶっ壊す!」 東京都で、あるいは山口でも京都でも、全国を駆け巡り、街頭で、大観衆の前で、叫びまくる。第二の“小泉劇場”は、第一の“小泉劇場”を反転することによって出現する。NHKがボロを出し始めた今が好機だ。

彼に生来備わっている怒りのポテンシャルがどの程度のものなのか、オレには分からない。もし噂通りの三文役者のそれに過ぎないのだとしたら、オレが今ここで述べているようなことは、すべて絵空事に終わるだろう。

大いに怒れることの出来る人は、それ自体がひとつの天賦の才能だ。怒りのポテンシャルの低い人を世間では“善い人”と称して讃えるが、オレはそのような考え方には与しない。社会の上層の所謂エリートと称される人達の怒りのポテンシャルが総体的に低いから、世の中がどんどんオカシくなって行っても歯止めが利かず、なあなあ、なあなあで、ズルズル崩壊の道を辿って行くのである。宇都宮健児は安倍のヤバさに対して少々鈍感なように見受けられる。(細川護煕はこの点明確に意識している。この違いは大きい。)

大いに怒り、大いに悲しみ、大いに喜ぶ才能に富む人は、それ故に、毒を食らうことが出来る。毒に愛されるのである。この毒は、福島第一原発でダダ漏れしている毒や、石破茂が辺野古で撒き散らした毒とは、種類が違う。

小泉純一郎がもしこのような毒を食えたなら、嵐が巻き起こる。疾風怒濤が湧き起こり、すべての汚れ穢れしモノを洗い流す、真の大嵐が訪れて、国土を覆い尽くす。彼はB層専用のニセ英雄の烙印から脱却して、真の国民的英雄になれるだろう。それは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康以来の、真に歴史的国民的英雄と言う意味だ。

彼が生涯三文役者で終わる程度のタマなのであれば、ここで何を言っても仕方無い。しかし彼に未だ眠れるポテンシャルが秘められていたとしても、小泉純一郎が毒を食らう為には、まずわれわれが小泉純一郎という毒を食わねばならない。それが人間同士の互酬性というものだろう。



宇都宮健児について言えば、今回は共産党の帽子を真っ先に被ってしまった政治オンチ振りがすべてである。この点は、どんなに強調しても強調し過ぎる事は無い。死票製造マシーン=自民党の補完勢力・日本共産党にはホトホトうんざりである。

世の趨勢を大局的に鑑みず、“正義”という己の孤高のポジションに在る事それ自体の価値を重視する人達が、世の中に一定数居るという事実は従来より認めていたつもりだが、予想以上にそういう人が多いようなのには少々驚きである。特に若年層にその傾向が強いように思うが、思い起こせばオレも20代の時に国政選挙で一度だけ、政権に対する抗議票の意味で共産党の候補者に投票したことがあった。今では己の人生における汚点の一つとして認識している。考えねばならないのは、今が抗議票というカタチの意思表示で充足して居れる時なのか?と言うことである。
(ついでに附言しておくが、、脱原発運動もそれから反TPP運動も、共産党なんかにくっ付いて行ったら、いずれ世間からオウム真理教扱いされるのがオチである。そしてそれこそが、まさに敵の“思う壺”なのである。)

本来この都知事選の重要な争点となるべきものに、脱原発とともに、東京都がまさに主舞台のひとつとなるであろう国家戦略特区の問題があった。細川・小泉の参戦によって、こちらの方が争点として後退してしまった、と言う批判は当たらないだろう。争点を決めるのはマスコミである。現に今も、馬鹿の一つ覚えで「景気・雇用対策」が争点の第一位と言い募りながら、景気・雇用に直接重大な影響を与えるこの国家戦略特区の問題については、ほとんど議論の俎上に載せようとしていないではないか。

舛添は国家戦略特区の最大積極活用を明言している。舛添の連呼する「世界一・・・」「世界一・・・」は、安倍晋三の「世界一企業が活動しやすい日本(=世界一大資本が富を収奪しやすい日本)を目指す」の「世界一」と連動している。冷静に、舛添都知事誕生を阻止する可能性の少しでも高い方法を、今は考えるべきである。

小泉程度の毒も食えないと言うのなら、オレとしては何をか言わんやである。カロリーメイトとサプリメントでも食って、ジョギングでもしてろ、という感じである。

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