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2011年10月17日 (月)

TPPはアメリカの仕掛けた罠① ― TPPで輸出は増えず、デフレは更に進行、失業率だけが上がり、国民生活は窮乏にあえぐ

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・日テレNEWS ZERO(ニュースゼロ)村尾キャスターの国民を欺くことを主眼としたいかがわしいTPP解説

爽やかな笑顔で国民生活を破滅に導く暗黒テレビ。彼らは一体誰の為に存在するのか。

暗黒テレビという呼称が少々どぎついという向きにも、彼らマスコミ全体が“暗愚”であるということについては、既にいかなる留保もなく確実に同意いただけるであろう。

ことTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関しては、そもそもの最初から不気味なほどの「一致団結した暗愚さ」でここまで来ている。

昨年10月に唐突に菅直人首相(当時)の口からTPPへの参加検討表明がなされ、その内容が次第に明らかになるにつれ、まっとうな経済観、国家観を持ち合わせている有識者の多くから「これは実に馬鹿げている。甚だ危険なとんでもない代物だ。」という批判が噴出し、実際今年の春ごろには、オレも何冊か眼を通したが、大型書店に行けばかなり目立つところにTPP関連の書籍がズラッと陳列され、しかも
その殆んどがTPP参加に否定的、というよりも寧ろハッキリと“NO!”を突きつけるものであった。民主党原口一博氏でなくとも、本来なら(健全な民主主義国家なら)「もう答えは出ている」問題なはずである。

ところがこの国ではそうはならない。記者クラブマスメディア(新聞・テレビ)という巨大な「暗愚の壁」がヌメリと居座って、正常な判断から国民を眼くらましさせているのがひとつの大きな主因である。

この一年、既にさまざまな方面から否定的見解が出尽くしている状況にもかかわらず、それらには完全黙殺を決めこんで、相も変らぬ同じ主張を鸚鵡(おうむ)の様に何も知らない国民の耳に囁き続ける。嘘も百回繰り返したら真(まこと)になると言わんばかりに。

その典型的代表例として、たまたま見た先週の日テレNEWS ZERO(ニュースゼロ)で村尾信尚キャスターが訳知り顔で展開していた論を検証してみたい。一字一句正確に記憶しているわけではないが、その趣旨は概ね、

「日本はこれから少子高齢化で内需が減少していくのは避けられないから、輸出主導で経済成長を図っていかなければならない。その為にもTPP参加は急務である。」

というものであった。

一聴もっともらしく耳に響くこの論に、TPPに限らず現在マスメディアで支配的な経済論議における、国民を欺(あざむ)き、大多数の国民に経済的苦境を強いる為に展開されている(意図的)誤謬の最大要点が込められていると思われるので、ここで取り上げてみようと思ったわけである。

しかしその為には、TPPについてマスメディアの展開する主張がどんなにイカレテいるか(まさに一から十まで!)を、手許にあるTPP関連の書物など参考としながら、順に追って解説していく必要がある。だからそんなことはとうに承知しているよという読者には少々冗長な記述となるかも知れないが、そこは悪しからずである。


・TPPで輸出は増えない

TPP参加を押し進めなければならない最大の理由として、アメリカと二国間のFTA(自由貿易協定)を締結した韓国と耐久消費財(自動車・家電等)の輸出市場で競合関係にある日本メーカーが、関税面で不利な立場に立たされるのを回避せねばならない、との主張がある。

昨年10月19日、前原誠司外相(当時)は講演で「日本の国内総生産における第一次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか。」と述べ、マスメディアもこれを大きく取り扱ったのだが、その弱者切り捨て当然というような論旨の倣岸さもさることながら、まずこの発言にはあきらかな誇張がある。ほとんど嘘といってもいいほどの誇張である。

日本は輸出依存国だと誤解している人が多いが、日本の輸出依存度(財の輸出÷名目GDP)はドル換算で約11.4%(2009年)に過ぎず、40%超の外需依存国である韓国に比べてはるかに低いのはもちろん、世界178カ国比較でも175番目、主要国で日本よりも低いのはアメリカとブラジルのみである。

しかも日本の輸出総額に占める耐久消費財の輸出の割合は約14.2%であり、そこから国民総生産における耐久消費財輸出の割合を求める(11.5%×14.2%)と、約1.6%強に過ぎないのである。

前原誠司がTPPで不利益をこうむる農業などの一次産業の対GDP比率を「1.5%に過ぎない」と言うのであれば、利益を得るという耐久消費財輸出の対GDP比率はなぜ示さないのか。前原発言はきわめてアンフェアと言わざるを得ないが、当時その事を指摘したマスメディアは無かった。しかも工業品メーカーなら関税リスクや為替リスクを回避するために工場の海外移転なども可能だが、農業にはそんなことは出来ないのである。

そしてそのGDP比1.6%強の耐久消費財輸出をはじめとして、はたしてTPPへの参加によってどれだけの経済的プラス効果があるかという試算を内閣府が出しているが、それによるとTPPに参加した場合は実質GDPが2.4兆円~3.2兆円増、参加しない場合は0.6兆円~0.7兆円減となっており、すなわち参加する場合と参加しない場合とでは最大で約4兆円のGDPの差が出るということになっているが、実はこの数字は「10年間の累積」の数字である。担当責任者の川崎研一氏自身がそう語っている。一年にならすと約4000億円、GDP比でわずか0.1%にも満たないほとんど誤差レベルの数値でしかないのである。しかも内閣府はこの「10年間の累積で」という文言を、資料に入れていない(!)

そして実際には、その程度の経済効果も望めない可能性が大なのだ。

韓国企業が輸出競争力を大きく強めているのは、この数年間でウォンの価値が日本円に対し半分程度にまで下落するような円高・ウォン安となったためである。アメリカの関税は乗用車で2.5%、液晶モニターで5%。別に高くない。もちろんこれらがゼロになる方が関税があるよりは有利だろうが、現在のグローバル化した世界における国際競争力には、関税よりも通貨の為替レートの変動の方がはるかに影響力が大きい。5%の関税が無くなった分くらいの為替変動は今や日常茶飯事となりつつある。。

そしてもっと重要なのは、アメリカにしてもそれからEUにしても、不況の深刻化・長期化傾向で需要が大きく冷え込みつつあるなかで、そもそも輸出の伸びなど見込めるのかということである。推進派の主張を聞くと韓国企業との競争に勝つことばかり考えているようだが、日韓ともに輸出を伸ばせないという可能性の方が高いのではないか。アメリカ自体が自国通貨の更なる切り下げ、ドル安誘導を行えば、たとえTPPを締結してもそれだけで日本製品の輸出力は大きく下落する。アメリカはその積もりである。


・「アジア太平洋の成長を取り込む」という子供騙しのまやかし

悪質なのはこの期に及んでまだTPPによって「アジア太平洋地域の40億人の内需を日本の内需とし、経済連携を進めていく」などとの(帝国主義的な)見え透いた絵空事を堂々とほざいている玄葉光一郎外相のような輩と、それを何らの疑義もはさまずそのまま垂れ流すマスメディアである。

現在TPP協議に参加しているのはシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの9ヵ国。これに日本が加わった場合の10ヵ国でGDP規模を比較すると日米だけで90%以上。市場規模で比較すれば96%にもなる。日本が輸出できる対象は実質的にアメリカのみということだ。そのアメリカは日本からの輸入を増やす気など毛頭無いのである。中国も韓国も台湾もインドネシアもタイも参加しないTPPでどうやってアジア太平洋の成長を取り込むのか?まったくもって詭弁もいいところである。

同様に、この参加国の構成で「日本がアジア太平洋地域における貿易のルール作りにリーダーシップを発揮する」などというのもきわめて幼稚な妄想でしかない。

その逆に、TPPは「日本包囲網」となる。多国間交渉の場では議論において多数派を占めることが肝要となるが、参加国のなかで日本と利害を一致する国はひとつも無いのだ。日本以外の国は、アメリカも含めてみな農産品・鉱産品輸出国であり、ベトナム・マレーシア・ペルー・チリなどは低賃金労働者の輸出も望んでいる。逆にアメリカが他国を味方につけるのは容易であり、そうなると多勢に無勢、日本は米韓FTAにおける「毒素条項」のような難題を次々と押し付けられて窮するのがオチとなる。

アメリカが二国間FTAではなく敢えてTPP参加を日本に呼びかけた狙いもまさにここにあるであろうことは、ある程度思慮をめぐらせてみれば容易に察しのつくところである。TPPは交渉がアメリカにとって優位に進むようなメンバー構成になっており、事実いま現在進行中の協議においても、アメリカの思惑通りに事が進んでいるようだ。(アメリカは自国市場の開放を渋っており、参加国全体の眼を日本に振り向ける方向に議論の流れをリードしている。)

TPPの正体は実は日米FTA、アメリカの狙いはズバリ日本である。

他の国など実はどうでもいい、どさくさにまぎれて様々な不平等搾取条項をぶちこめる包括的外商協議に日本を引っ張り出せれば良いのである。


・TPPでデフレが進行し、失業率ははね上がる

つまりTPPに参加しても推進派の主張するようなメリットはほとんど期待できないわけだが、その反面デメリットはとてつもなく大きいものになるであろうことは、(新聞・テレビ以外の)各方面で既に主張されている通りである。

まず日本はもう10年以上もデフレという重大な経済の病気から脱することが出来ずに、国民生活の窮乏化に悩んでいる訳だが、TPP参加は確実にデフレを進行させる。

当然だが、関税廃止による自由貿易の推進は、それ自体が競争激化の結果として更なるデフレを誘発する。

安くなった外国産農産物等の流入は、それだけでも物価を押し下げるが、低賃金労働者の流入によって賃金水準も下がり、デフレがデフレを生むスパイラルに今より一層の拍車がかかって当然である。壊滅した一次産業従事者や、公共事業における外国企業の参入に対する規制廃止で仕事を奪われた人達を中心に、大量の失業者が新たに生まれることとなる。いまだに巷では「規制緩和絶対善説」のようなものがまかり通っているが、デフレ不況時の規制緩和はマイナス効果の方がはるかに大きいのだ。


・「輸出主導で経済成長」の嘘。日本は内需拡大でデフレ解消を目指さねばならない。

ここでようやく冒頭の『NEWS ZERO』村尾氏の発言に戻る。つまり、

「日本はこれから少子高齢化で内需が減少していくのは避けられないから、輸出主導で経済成長を図っていかなければならない。だからTPP。」

というマスメディアで主流を占める一聴もっともらしい論であるが、こんな話をまともに信じていたらわれわれ国民は不幸のどん底を味わうことになるのである。

前述の説明からすでに、今後しばらくは輸出(特に対アメリカ、EU)に大きな期待をかけるのは無理だということは明らかである。世界経済は大不況に突入しつつあり、しかも円高傾向も収まる様子は無い。

リーマン・ショック前の2001年から2007年にかけて世界経済が好況でしかも円安だった時期には、たしかに輸出額が伸びたことで景気も回復したのだが、村尾氏に代表されるような論は、まずその時と今や状況が一変している事をまるで考慮に入れていない。

しかもその輸出主導で景気が回復していた時期に、国民の給与水準は逆に下落し続けており、デフレからも脱却出来ず、ほとんどの国民は当然の結果として景気回復をまったく実感出来なかったのである。

こんにちのグローバル化された世界においては、輸出企業は新興国企業との激しい価格競争に打ち勝たねばならず、そのための合理的必然的行動として労働者の低賃金化や非正規雇用化に拍車がかからざるを得ないのは、この間多くの国民が目の当たりにしたはずである。しかも輸出企業における低賃金化はその波及として国内産業全体における低賃金化をもたらしたのである。

経済のグローバル化した時代においては、輸出企業の好業績は国民全体の幸福に帰するどころか、むしろそれに反するようにすらなってしまったという事を、われわれは経験から学ばなければならない。

そうすると今政治に求められることは自ずと明らかになってくる。

日本政府はなによりもまずこのデフレから脱却するために、積極的な財政出動を実行し、内需拡大を図るべきなのである。デフレを進行させるTPPなどマクロ経済学の基本に照らし合わせても論外なのだ。まさかネットユーザーで財務省企画、マスメディア演出の「日本財政不安、破綻しちゃうよヤバイヤバイ」キャンペーンを今更信じている人もいまい。

そして村尾氏に典型な今流行りの「少子高齢化で人口減少するから内需拡大は今後望めない、外需を取りにいけ、東アジアの成長を取り込んで生き延びよ、外国人観光客や海外資本を積極的に呼び込め云々」説になるのだが、一種強迫観念のようにこのようなスローガンを信じ込まされている日本人があまりにも多いように思う。これらの論は最大の問題課題であるデフレという事実から人々の目をくらます。

何度も言うが、それらの主張は円高の前にいずれも力を失うのだ。これらの所謂グローバル成長戦略に偏った国策は、円高の前に有効性を失うだけでなく、さらなる円高を誘発して経済の成長力を奪う悪循環に陥るだろう。

世界的な不況と通貨切下げ競争、世界中が外需の奪い合いに走り出している今この時、日本が積極的にやらなければならないのはそれとは逆の事である。

積極的な財政出動(インフラ整備、研究開発投資等)でデフレを解消した上で、(TPPに拠らず)輸出を増やす。輸出が増えれば円も安くなる。。少子高齢化はその障壁にならない。

なぜなら少子化(労働人口の減少)とは相対的な供給の減少であり、高齢化(非労働人口の増加)とは相対的な需要の増加である。少子高齢化とは、供給に対する内需の相対的増加に他ならないはずだ。人口が減少していくからといって供給力が海外にこぞって出て行かねばならないという理屈にはならない。

むしろ日本社会が少子高齢化するからこそ、将来の供給力不足を強化するための「投資」として、今から「内需」主導の景気回復が必要なのである。

それは世界経済の要請でもある。いま内需主導の経済成長を実現して輸出を増やせるような潜在力がある国としては、日本が世界の筆頭だろう。中国はいつバブルが崩壊するとも知れない。そして日本は少子高齢化の先端を行く国としても、その最初の着地モデルを世界に示さねばならないのだ。

その点、『月刊日本』の10月号にも意気軒昂な正論を吐いている事をあいば達也氏のブログで紹介されていたが、昨日のフジ『新報道2001』に出演した亀井静香はやはり貴重なる慧眼の政治家である。

「世界経済をいま救えるのは日本だ。」とハッキリ述べていた。「ドジョウじゃ駄目だ、日本は昇り竜にならねばならん。」とも。アメリカに対しては「性善説で行ったらイカン」。

彼に反論するTPP推進派のコメンテーターどもが皆アメリカのスパイに見えたのは、オレだけではないだろう。


・売国奴

とにかく前述した前原発言や玄葉発言も悪質だったが、その他にも悪質な子供騙しの詐欺師が多過ぎる。

14日のプロジェクトチーム初会合における仙石由人の「ここ数十年のグローバリゼーションは避けられない。これに適切に対応するのが日本の生きる道だ」という発言も、それがTPP推進の立場から述べられた発言である事を考えると、まさに暗愚の極みと言うべき劣悪なものである。「グローバリゼーションに適切に対応する」のであれば、まさにTPP参加など有り得ない。

さらに岡田克也などはその前日「思い切って国を開かなければ、この国は終わりだ」と、「平成の開国」とのたまって失笑を買った菅直人に輪をかけたような暴言を吐いている。日本の平均関税率は諸外国と比較してもすでに充分低く、別に“鎖国”などしていない。岡田の言う「国を開く」とは、国をどこかに譲渡することなのか?だとしたらそちらの方が「終わり」と呼ぶに相応しいとオレには思われるが。米倉経団連会長が方々で吹いている「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる」というのと同様、まったく意味が分からない。

だから『NEWS ZERO』村尾氏の如き囁きにもわれわれは耳を貸してはいけないのである。横で若い女性アナウンサーや人気アイドルタレントが神妙な顔つきで彼の話に頷いていたとしても、決して一緒になって頷いてはならないのだ。それが彼らの“手”なのであるから。最近は“教師”役と“生徒”役を配する構図で視聴者を欺く番組が多い。

TPPなど論外である。TPP参加のバカバカしさ、恐ろしさを綴ってみようと思ったが、基本論だけでかなり長くなってしまった。TPPの本当の恐ろしさはまた別のところにある。農業だけではなく、金融・投資、共済制度、医療・保険制度、政府調達、知的財産権の規定範囲から安全・環境基準まで、ありとあらゆる国の根幹部分を他国の都合で破壊されてしまうのである。

とりあえず協議に参加してみて嫌になったら抜ければいい、というのも駄目である。一度交渉に参加した後そこから抜けることは難しいだろう。そもそも始めから益が無いと「もう答えは出ている」話なのだから。



それにしても、「一致団結した暗愚さ」とは何だろうか?

しかもそれは国民生活を左右するような重要な政治的・社会的案件に限って発揮されるのだ。

それは最早単なる「暗愚」とは言えないのではないか。

彼らはやはり暗黒新聞・暗黒テレビ、国民の敵である。

彼らは一体 誰の為に 存在するのか


(参考文献)
『TPP亡国論』中野剛志(集英社新書)
『TPPと日本の論点』農文協編(農文協ブックレット) 他


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