茶の間で繰り広げられる犯罪ショー
辞任した鉢呂吉雄の後任の経産大臣に前官房長官の枝野幸男の就任が発表された。そしてそれに申し合わせたかのごとく野田首相は就任直後に引き続き、この日経団連・米倉弘昌会長、経済同友会・長谷川閑史代表幹事と再度相次いで会談した。
昨日の記事で笑いに昇華して己の怒りを鎮静化しようとしたのであるが、やはり無理なようである。
「経産大臣が暴言」との最初のテレビニュースの奇っ怪な第一報を観た時から、怒髪天に達していたのだが、オレの瞬発力はペンには向かわない(笑)。向けれない、と言う方が正確かも知れない。怒りが一旦臨界を超えてしまうと、こうしてそれを文章に再構成するには、しばしの時間を要するのだ。そういう意味では、スピードが武器のネット文化にはあまり向いていないかも知れない(笑)。
これまでに何度もあった失言による大臣辞任騒動に比べても、そもそもの最初から一連の騒動がマスメデイアの作為によって無理やりに創出されていると点で、今回の辞任劇は明らかに一線を越えている。鉢呂の「死の街」発言は暴言でも失言でも何でもない。ネアンデルタール人でなければ誰にも分かる。(いや、ネアンデルタール人の知的能力についてはまだ分かっていない部分も多いので、ひょっとしたら彼らでも理解するかも知れない。)
後から出てきた「放射能つけちゃうぞ」云々の件については、記者とのオフレコの懇談の場における軽いジョークだったろうとはいえ、相手が悪意と狡猾さに充ちた大手メディアの記者クラブの連中であった事を考えれば、うかつで不用意という他はないだろう。
しかしこれについても、本人は「言っていないと思う。」と否定しており、ツイッター上でも<鉢呂発言は捏造報道か?記者は本当に聞いたのか?どれが真実?全て嘘?読売「ほら放射能」、朝日「放射能をつけちゃうぞ」、毎日「放射能をつけたぞ」、日経「放射能をつけてやろうか」、産経「放射能をうつしてやる」、FNN「放射能を分けてやるよ」>という疑問が当然のように多数出ている。これだけ短い一言でこれだけ各社表現が違うというのも、普通に考えておかしなものだが、おそらく本人が覚えていないのと同様にその場にいた記者達も覚えていないような、一瞬の軽微なやりとりに過ぎないのだろう。
その軽微なやりとりが新聞・テレビのトップニュースになって、結果われわれほとんどの有権者の意志とはまったく無関係のところで、大臣のクビがあれよあれよとすげ替えられる。
勿論彼ら新聞・テレビ各社の社員・職員達も各々が有権者であり、マスメディアも企業体として活動しているかぎりは利潤を追求せねばならぬ定めにはあるのだが、本来誰のものでもない筈の電波を独占的に使用しているという自分達の特権を最大限に「悪用」して、自分達の意に汲まない政治家を思いのままに追い落とそうとするその振舞いは、今に始まった話ではないが、事ここに至っては最早犯罪である。(オレは鉢呂という政治家をあまり評価していないし、昨年の民主党代表選で菅直人に投票した’09年総選挙での国民の意志表明に対する軟弱な裏切り日和見政治家の一人という認識であるが、ここにきて脱原発指向とTPP慎重指向を見せていたことが、彼らマスコミにはお気に召さなかったのだろう。)
もうどこの局だったか覚えていないが、犯罪ショーの幕開けは若い女性アナウンサーの「新内閣の大臣の口から、とんでもない、信じられないような発言が飛び出しました!!」という絶叫からであった。続いてその当の鉢呂の発言が流れる。「残念ながら(原発)周辺の町村の市街地は人っ子一人いない、まさに“死の街”というかたちで御座いました。」
(?????????????)
オイオイと思って観ていると、どうやら冗談ではないらしい。続いていつもの得意のサタニックな詐術的映像編集テクノロジー=「街の声」が始まる。
福島県内の繁華街でのインタビューだ。おそらく福島市か郡山市だろう。最初に高校生くらいの子が二人くらい続いた。大体「ヒドイ。福島県人の気持ちを踏みにじっている。許せない。」というような趣旨である。
(やべーな最近の高校生の言語能力の衰退ぶりは。「人っ子一人いない」街の事を「死の街」とか「ゴーストタウン」って表現する感覚が分からないのかな?われわれ現生人類を現生人類たらしめている所以でもあるこの「比喩」という言語表現能力、詩的表現力をそれとして理解出来ないのだとしたら、ニューロン・ネットワークの著しい退化の兆候だ。ゆとり教育、恐るべしだな・・・。)
しかしその後中年のサラリーマン風男性が登場して「ふざけんじゃねぇってんだ。こちとら頑張って何とか日々生活してるっていうのによ。そんな奴大臣辞めちゃえ辞めちゃえ。」等と発言しているのを見るに及び、考えをあらためた。
(違うな。これは質問者の質問自体が多分違う。)
経産大臣はまさに避難区域となっていて人気(ひとけ)の無い20キロ圏、30キロ圏の街を視察した印象として「残念ながら死の街になっている」という表現をしているのだが、このインタビュアーはそこを意図的に曲解して「福島を視察した鉢呂経産大臣が“死の町だ”と今日発言したがどう思うか?」のように尋ねている可能性が高い。そうでなければこの人のこのような反応は逆に説明しにくい。
自分の受け答えが全国ニュースで流されたこの人達は、今頃自分が悪事の為に「利用」されていたことに気付き、心に深く傷を負っているかも知れない。つくづく罪作りなテレビマンどもである。
しかも彼らは国民を欺く為の方法論として、国民の白痴化をも極限まで進行させる目論見のようだ。死を隠蔽する文化、それ自体が現代社会の抱えた本質的な病理であるのだが、「死」と口にするだけで社会的に抹殺されるような事態とならば、その際限なき集団的退行の先に何があるのか、想像するだけでうすら寒い。それに福島第一原発周辺の現況を正視すれば、まず死を認識することから始めないと、いかなる再生も不可能だろう。「死の街」と発言した者をなじることは、「死の街」にしてしまった者の責任を曖昧にし、無化することに他ならない。
9月3日付の記事で野田首相の人事について触れ、党内融和色を今は出しているが、それに対し今後ありとあらゆる詭弁を弄してでもマスコミが足を引っ張ってくるだろうと述べていたことが、早速現実となった。しかもまさになりふり構わずといった体の、公共の電波を使っての、公衆の面前における確信的犯罪行為に踏み込んでまで。どこまで国民を愚弄すれば気が済むのだろう。まさにこの国の支配者気取りである。
オレが不思議なのは、いかに政治部中心の暴走だとはいえ、同じ新聞社・テレビ局に勤めている他の人間は、自分の会社がやっている事を恥ずかしいとかイヤダとか思わんのであろうか。キチガイじみた原稿を読めと言われて、喉の奥から突き上げてくるような嫌悪感とか無いのだろうか。多分無いのだろう。もし有ったら、こんな最低の白痴じみたキチガイ騒ぎを起こす前に、内側から何らかの自浄運動が起きていた筈である。
よって今後オレは(今までも大概そうだったが)、いかなる末端のペーペーにかかわらず、大手新聞社・地上波ネットテレビ局のすべての社員・
職員は国民の敵と見做す。一線を越えてきたのはお前らである。小沢一郎の「政治とカネ」問題に関しては検察が主犯で自分達は幇助罪程度だ、という言い訳がまだ立つかも知れないが、今回のはお前らが主犯である。
あっさりと辞任を受け入れてしまった鉢呂の姿を見るにつけ、どのみちこの人には官僚とマスメディアの抵抗を大向こうにまわしての脱原発や反TPPへの舵取りは上手く出来なかっただろうと思う。しかし今回のメディアスクラムにおける彼らの異常な行動の目的は鉢呂のクビだけにあるのではなく、野田内閣本体への恫喝の意味もそこには含まれているだろう。
野田首相もまたアッサリと鉢呂に辞任を促したものと思われる。そしてその後釜に据えたのが仙石由人の子分格で経産官僚・マスメディア受けのよさそうな枝野である。前原の空威張りもお盛んでアヤシイ動きをしている。強い信念の無さそうなのが今のところ唯一の取り柄のような野田佳彦だが、官僚・マスメディア連合軍の推進しようとする復興増税・消費増税・TPPら諸政策を、露骨な恫喝を受けながら尚のらりくらりとでもかわす様な度量が果たしてあるのだろうか?
輿石東幹事長サイドから「報道の在り方について」「今回の件を問題視している」とのアナウンスがあった。大いに問題化すべきである。
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